糖尿病患者は日本だけでなく海外でも増え続けています。日本では増え続ける糖尿病患者に食事や運動の療法を指導するための資格「糖尿病療養指導士」があります。
最近では糖尿病専門の科目を設置している病院や専門のクリニックも設立されています。それほど糖尿病患者は年々増加していることになります。
糖尿病療養指導士になるには試験に合格する必要があります。また、合格後は5年毎の更新が義務付けられている資格です。
では、糖尿病療養指導士に関する情報を整理していきつつ、どのようなことに注意しなければいけないか考えていきたいと思います。
資格取得を考えている人もすでに資格を持っている人も、ためになる情報ですので見逃さないようにしてください。
糖尿病療養指導士の資格と受験条件
糖尿病患者に対しての療養指導をすることを目的とした糖尿病療養指導士には2種類あります。地方の糖尿病療養指導士(LCDE)と日本糖尿病療養指導士(CDEJ)です。
CDEJの方がLCDEに比べて難易度が高く、その分糖尿病の専門の科目のある病院やクリニックで重宝されます。
CDEJは日本糖尿病療養指導士認定機構が認定する資格です。日本糖尿病療養指導士認定機構とは日本糖尿病学会、日本糖尿病教育・看護学会、日本病態栄養学会が協力し、設立された認定機構です。
糖尿病に対する専門知識と指導経験や実績を持つことで、糖尿病患者に適切な指導をする医療従事者の育成が目的で作られた一般社団法人です。
受験資格は看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士の資格を持っていることです。准看護師や栄養士の資格を持っているだけでは受験することができない厳しい条件になっています。
また、糖尿病療養指導の自験例が10例以上あることも条件になっています。これは、糖尿病療養指導の自験例を10例レポートとして提出する必要があるからです。
さらに1000時間以上糖尿病患者の療養指導を行ったことも条件になります。10年以内に2年以上継続して糖尿病患者の療養指導業務に従事したことも付け加えられています。
つまり、10年以内に2年以上の期間でなおかつ1000時間以上、10人以上の糖尿病患者に療養指導をした実績があることとなります。療養指導をした実績がなければ受験することもできない、資格取得には大変準備期間が必要な資格です。
資格取得のための受験はマークシート式の記述試験が150問と自験例10例分のレポートの提出になります。
合格率はだいたい70%から90%ぐらいで、幅があるのは自験例のレポートの採点が影響しているからです。マークシート式の記述問題よりも自験例のレポートの方が重視されているのです。
厳しい条件をクリアして受験するのですから、レポートは前もってじっくりと作成しておきたいものです。
糖尿病療養指導士の資格更新に必要なこと
医学の世界では新しい技術の進歩や知識はとても大切なものです。常に最新の技術や知識を得るためにも、糖尿病療養指導士の資格は5年毎に更新をすることが義務付けされています。一生涯勉強という意識の高さの表れとも言えます。
認定更新手続きに必要な条件は、「糖尿病療養に従事していること」「更新用の講習を受講していること」「認定更新のための研修単位を取得していること」「自験例を10例以上提出していること」の4つになります。
「糖尿病療養に従事していること」では、認定期間中に通算3年以上病院や保健所などで糖尿病患者の療養指導の業務に従事していれば、常勤と非常勤のどちらでも大丈夫です。「認定更新のための研修単位を取得していること」という条件は、自己の医療職研修20単位と糖尿病療養指導研修20単位を取得していることとなります。
「自験例を10例以上提出していること」という条件は2回目以降であれば10例未満でも、糖尿病療養指導士としての十分な活動実態や実績があれば良いとされています。全てをクリアしないと更新することができないので注意が必要です。
更新に必要な申請書や証明書、自験例のテンプレートは日本糖尿病療養指導士認定機構のサイトに用意されています。
もしも、家庭の事情などで更新ができない場合は、届け出ることで最長2年間延長することができます。延長手続きをしないと資格を失ってしまうことになるので、更新手続きができない事情があるなら早めに延長手続きをする必要があります。この延長手続きのテンプレートも、日本糖尿病療養指導士認定機構のサイトに用意されています。
認定更新用の講習と受験用の講習は違います。認定更新用の講習は2日間あり、各会場での講習とインターネットを使用したeラーニングで行われます。申込方法はインターネットか郵送で受け付けてもらえますので、記入漏れが無いかの確認が必要です。
糖尿病療養指導士の試験や合格に関すること
厳しい条件をクリアし受験に合格すれば糖尿病療養指導士の資格を晴れて取得できます。受験に合格すると証明として認定証とバッジが送られてきます。万が一、このバッジを紛失してしまった場合は糖尿病療養指導士認定機構のサイトにある書類をダウンロードして紛失届をします。書類だけではなく切手を貼って送ります。
資格を取得した後に住所や氏名の変更があった場合は、糖尿病療養指導士認定機構のサイトにある登録変更届用紙をダウンロードして必要箇所に記入して郵送することで変更ができます。住所変更は引っ越しの際にできるだけ早くしておかないと、更新のときに不便です。
合格したからと言って、どこかに登録しなければいけないようなことはありません。合格者は糖尿病療養指導士認定機構のサイトや糖尿病学会の会報に氏名が掲載されます。自分の名前が合格者として掲載されることはとても誇らしいことです。
受験から合格発表までの流れは、6月から7月に講習会受講申し込み、10月から11月に講習会受講、11月から12月に受験申込と必要書類提出、自験例提出、1月に受験審査、2月に受験票発送、3月に認定試験、4月から5月に郵送での合格発表が行われます。
提出書類に記入漏れなどの不備があると、1月の受験審査で受験資格がなくなってしまいます。もしも試験に不合格だった場合、翌年の講習会は免除になるので受講する必要はありません。
合格するかはマークシート式の記述問題と自験例のレポートで決まりますが、不合格になるのは自験例の出来が関係していることが多いです。一見、マークシート式の記述問題が出来ていないからと考える人が多いですが、重要なのは自験例10例の内容なのです。
いろいろな療養指導の例を書く必要があるからです。例えば、インスリンについての指導をした場合、初回導入の患者さんと導入後の患者さんなど様々な症例を書くことが大切です。
日本でも深刻な合併症を伴う糖尿病に関しての専門的な資格を持つ糖尿病療養指導士は、無くてはならない存在になっています。食事療法や運動療法を通して糖尿病患者にアドバイスをする大きな役割を担っています。
資格取得には厳しい条件が多くありますが、将来的に見ても需要が増える資格です。数年前までは准看護師や栄養士も受験できたのですが、現在ではできなくなっています。そのことからも、資格取得を考えるなら早めに受験することが重要だと言えます。
自分の身に付く資格なので、転職を考えたときに持っていると有利になります。
注意しなければいけないことは5年毎に更新が必要なことです。できない場合は延長届を必ず提出しなければいけません。